新型クラウン(2Lターボ RS Advance)試乗記・レビュー2018年7月

5年半ぶりのフルモデルチェンジとなった新型クラウン。

購入層の平均年齢が70歳に迫ろうかという状況らしく、オーナー層の若返りを目指して今回はニュルブルクリンクで鍛え上げるなど、乗り味や内外装も含め欧州車を強く意識したクルマになっています。

近年のトヨタのクルマ作りは走りの楽しさを打ち出した方針としており、駆け抜ける喜びを掲げたBMWのオーナーとしては、ふにゃふにゃサスの権化であったあのクラウンが、一体どのような進化を遂げたのか、ようやく確かめることができました。

ちなみに今回試乗したのは、2LターボのRS Advanceです。

売れ筋はもちろん2.5Lハイブリッドのようですが、あのハイブリッド車特有のラバーフィールが好きではないので、敢えて2Lターボを指名してきました。大体の人はハイブリッドに流れると思うので、割とニッチかもしれません。

■結論

・乗り味はドイツ車のように固め。
速度が遅い時は路面の凹凸を車内にも伝えるが、高速走行時はフラットな走りとなる。
・エンジンの加速感は必要十分だが、やや期待外れ。
近年の欧州車のように、低い回転数(1200rpmとか)から
最大トルクを出せるエンジンにはなっていない。
ちなみにIS300と同じエンジンなので、加速感については車両重量の関係もありそう。
・静粛性はそこそこ。さすがにレクサスと比べると分が悪いか。
逆位相の音をスピーカーから流すアクティブノイズコントロールは全車標準装備。

■詳細

●内外装
ネットでは、やれアウディなど、欧州車をミックスさせたデザインだなど、色々と言われていますが、まぁ確かに間違いなく意識はしているでしょうね。
ディーラーさんも同じことを言っていました。

側面の抑揚こそ、国内専用車としての矜持である1800mmを死守するが故に抑えられるなどのトレードオフ感はありますが、それでも立派ですね。

切り詰めたフロントオーバーハング、空力特性向上のために前に出した鼻っ柱、水平方向を基調としたリアランプ、視線移動を少なくするようダッシュボードから突き出たディスプレイ、もはやとても白いレースカバーなど似合わなさそうな黒を基調としたシート。。

その一方で、国産車然とする様相もありました。メーターは自発光式メーターの面影がありますし、縦に伸びたエアコンの吹き出し口もそうですね。エアコンのルーバーが自動で左右に動いていたのは、細やかなクラウンならではだと思いましたが。

ATシフトレバーも、ようやくジグザグ方式から少し前の欧州車のように、解除ボタンを押しながら真っ直ぐ移動させる方式になりました。しかし、プリウスでもやっているくらいなのだから、クラウンくらいシフトバイワイヤにしてもよさそうなものですが。。
パーキングブレーキはバイワイヤでオート化されているのに、、とちぐはぐなところもあったものの、全体的には堅実な作りになっていました。

個人的にはエアコン操作部などは、タッチパネル化せずに手探りで操作できる方が、クルマの操作部としては優秀なのではないかと個人的には思います。

プローブボックスは可もなく不可もなく。
あまりこんなところ写真を撮る人いなさそうなので上げておきます。
ちなみに運転席と助手席の間のボックスの蓋は横開きで、
左右どちらからでも開きます。

試乗車のシートは本革オプションではなく、標準装備のブランノーブ+合成皮革。
シートの表面はこんな感じです。

適度なホールド感があり、まぁたかだか1時間も乗らない程度の試乗で疲れないのは当たり前ですが、特に不満はありませんでしたね。

ちなみに本革オプションであるレザーシートパッケージを選ぶと、シートヒーターやベンチレーション機能もついてきます。
一度シートヒーターのお世話になると、次は無いクルマは選べなくなるという苦しみがありますね。
ベンチレーション機能は、夏場の焼けるような熱さの革シートには持ってこいです。
今のクルマにはついていないので、、是非ともほしい。。

ちなみにトヨタ車のベンチレーションは、他のクルマとは異なり座面から空気を吸引するタイプです。
設計者曰く、吸熱として作用するためこちらの方が冷感効果があるらしいです。
ちなみにレクサスも同じ吸引方式です。

後席は体重がかかる箇所は少しくぼみがあり、寛げるようなシートになっていました。
後席のシートヒーターは、グレードGかG-Executiveにしか用意されません。

しっとりとした肌触りのステアリングは本革巻きで、非常に感触は良かったです。
ステアリング周りのボタンはあまり新型感はありませんね。

トランクはさすがクラウン、広い。

ゴルフバッグも当然4つ収まるとのこと。
欧州車(特にBMW)はサスの張り出しがトランクにも及ぶクルマが多いですが、
横幅が1800mmでありながらも、きっちりパッケージを作りこんでいるのはさすがトヨタですね。

眼鏡を収納できる専用スペースも頭上にあります。

●乗り味
ディーラーの駐車場を出る時の段差を越えた瞬間から、新型クラウンが「脱ふにゃふにゃ」となっていることはわかりました。
すっと動いてぴっと一回で止まる、足回りのしなやかさが感じられたからです。

尤も、RSグレードということや、試乗車のホイールは18インチだったこともあり、下道の速度帯では若干固めの様相でしたが、欧州車から乗り換えされる方には違和感が少ないでしょうね。営業さん曰く、メルセデスやBMWから乗り換えをされる方も多いらしく、トヨタの目論見通りに動いてそうな感じです。

さて、道路の段差のインパクトは割と車内にその様子を伝えるものの、角は丸められており上質な乗り心地と呼ぶには十分でした。
ハンドリングもクイックすぎずダルすぎず、駐車場の取り回しの時には軽いステアリングにさすがクラウンだなと思わされましたが、走っている間は適度な重さに変化していましたね。

一般的には、リアタイヤの真上に座る後席の乗り心地の方が、前席よりもシビアになることが多いですが、後席重視のG-Executiveをもラインナップに備えるクラウンには、特に無用の心配でありました。後席の快適性を切り捨てているようなクルマも散見されますからね、重要なポイントだと思います。

今回の新型クラウンは、レクサスLSやLCと同じプラットフォームであるらしく、力の入れようが分かるというものですが、ちゃんと乗り心地にも反映されていました。つくづく人間の五感というものは侮れません。

今回の試乗では、低速域の下道と、中速域の郊外の下道、そして峠道を運転しました。

エンジンのトルク感で残念だったのは、上り坂でのフル加速。フラットなトルクバンドを有するターボエンジンのような加速感ではなく、回転数に従って盛り上がるような、しかしかと言って不足感のあるフィーリングでした。
今思えばターボラグと、最大トルクを発する1650rpmまでのスカスカ感が相まってそう思えてしまったのだろうと認識しています。
巷では数値に現れるほどの体感が得られないトヨタ馬力だなんて言葉もありますが、まぁパワーが欲しいのであれば3.5Lハイブリッドを選べば良いですし、街中では全く力不足は呈していませんでしたので、もともとの期待が高すぎたのかもしれません。

ちなみに営業さん曰く、サーキット研修というものがあり、そこでのライバルはメルセデスEクラスとBMW 5シリーズで、新型クラウンと乗り比べる、という非常に面白そうな研修があったようです。
体感的には、さすがに超えはしないものの、新型クラウンが肉薄していたようですので、ニュルブルクリンクで鍛えられたおかげなんでしょうかね。
まぁそもそも価格帯が、あちらさんの方は1.5倍以上しますのでね。。

今回クラウンで初めて体験したのは、電子化されたルームミラーでした。
今回は試せませんでしたが、夜間も問題なく見えるとのこと。

メリットは、
後席真ん中に人が乗っても後ろが見える!
(ちなみに身長175cmの私が座ると天井に髪の毛が当たりました)
リアウインドウが雨にぬれても視界は明瞭!
とのこと。

それは素晴らしい!

非常に素晴らしいのですが、運転してみてすぐに分かった違和感、その原因は電子ミラーは焦点距離が合うまでに時間がかかる、というもの。
つまり、普通に前の遠くの方(30m先くらい?)を見て運転しながら、ちらっとルームミラーに写る後続車両に目を移すと、普通にミラーであれば自分の眼の焦点距離が前を運転していた時とそこまで変わらないのですが、電子ミラーの場合は突然目から50cmほどしか離れていない液晶パネルを見るので、焦点距離がぐっと変わるわけです。
まぁそれも運転していて最後の方は慣れてきましたので、結局のところ慣れなんでしょうけれども。
そもそもナビの液晶を見るのと大差ないわけですし。

でも、保守的と思っていたクラウンに、いきなり電子ミラーを載せてくるのは、開発陣の熱い思いが垣間見えるようで良いですね。
ちなみに電子ミラー下のレバーをぐっと引き下げると、液晶表示が消えて通常のミラーとしても使えますのでご安心を。

峠道は、さすがにガンガン攻めず、軽~く走っただけでしたが、鈍重さはあまり感じられず、4.9m以上かつ1.7t以上あるクルマとは思えない軽快な走りでした。

次は高速試乗で、欧州車と同等のフラットな乗り味なのかどうかを調べてみたいと思います。まぁ低速での試乗で大体答えは出てそうなものですが。

■あとがき

新型クラウン、普通に良いですね。

これまでクラウンには見向きもしなかった私ですが、買い替えの時には普通に候補に入りそうです。
それも上位に。
ちゃんと日本人と日本の交通環境に向き合って、それでも欧州車テイストをブラッシュアップの要素として、うまくミックスさせてきたと思います。

若返り要素として、クラウンとスマホを接続(クラウンは普通にネット回線と接続できる!但し年間16,000円也)させた状態で、クラウンとLINEのやりとりをしながら行先を決定できる機能とかも今回入ったようです。運転中でも声で行き先を決定できる機能とか、オペレーターと接続できる機能はありがたいですが、まさかLINEまで盛り込んでくるとは。。
コネクティッドカーも、ここまで来たかという感じです。

日本のカーメーカーはミニバン一辺倒で嫌気がさしていましたが、今回の新型クラウン試乗で、セダン攻勢の巻き返しを感じられました。
是非とも、トヨタをはじめ、国産車メーカーにはがんばってもらいたいですね。

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